2013年10月6日日曜日

松阪市の中心市街地問題は高齢化と人口流出の問題!?

 松阪市の中心市街地といえば、松阪駅西前から続く商店街を中心とした区域や駅東の国道沿いの区域を指しますが、他の地方都市と同じように、特に駅の西側の商店街ではシャッターを閉める店が後を絶たず、それに伴い、若い世代も市の郊外などの区域外に移り住み、高齢者の割合が増え、空き店舗のみならず空き家も増え続けるという状況が続いています。
 

 駅に隣接した市内唯一の百貨店が平成18年に閉店してからというもの、その傾向はより顕著なものとなり、中心市街地の空洞化は止まりません。

 松阪市はこの状況を打開しようと、「松阪駅西地区市街地再開発事業」の都市計画を決定したのが平成20年のことで、その後、核的事業が整わなかったことなどからこの計画は断念され、新たに中心市街地の再生のための政策が練られ、アクションプラン(平成22年度~平成24年度)として平成22年3月にまとめ上げられたのが「松阪まちなか再生プラン」(以下、再生プランという。)でした。

 したがって、この再生プランに基づいて様々な政策が実施されることによって中心市街地の諸問題、つまり高齢化の進展や人口流出などによる街の空洞化問題が解決に向かわなければならないはずでした。

 ところが、ご承知の通り、依然として中心市街地は再生に向かっている状況にはありません。

 一体、どこに問題があったのでしょうか。

 私は再生プランの位置づけに問題があったのではないかと思っています。

 再生プランの掲げる課題認識と理念に注目すると・・・。

 再生プランの冊子には、冒頭でしっかりと中心市街地の空洞化問題が認識され、これを克服することが最大の課題であると明記してあるにもかかわらず、それにつづく再生プランの理念では「本市にある様々な「食」のすばらしさを感じ、先人の築き上げた「歴史」を温め、それらを次世代に語り継いでいくことを基本にするものである」(編集:植松)としているのです。

 課題に示された内容とそれを克服するための理念とが一致していないと言わざるを得ないのではないでしょうか。

 松阪市のまちづくりに再生プランをどう活かしていくのかというプランの位置づけが明確になっていないのではと思うのです。

 街の食べ歩きマップを作成したり、中心市街地に「国学の道」を設定し、歴史の再発見を促したりするなど、住民の皆さんや商店の皆さんが真剣に取り組んでいらっしゃる事業は、正に再生プランが理念として掲げる「様々な「食」のすばらしさを感じ、先人の築き上げた「歴史」を温め、それらを次世代に語り継いでいくこと」に繋がるものです。

 ところが、松阪市が最大の課題として挙げている高齢化の進展や人口流出などによる街の空洞化問題の克服には直接的には繋がっていないのではないでしょうか。

 実際、中心市街地の高齢化率の上昇は止まらず、今や34%を超え、空き店舗も増え続け、空き店舗率は22%を超えています。そして市が昨年行った市民アンケート調査では、半数以上の市民が「中心市街地にもっと居住を促すべきだ」としているのです。

 再生プランの理念通りに実施しているにもかかわらず、それがことごとく課題克服に繋がっていないとは何と皮肉なことでしょう。

 私たち住民は、市の「みんなでできることからまずは始めよう」という合言葉の下、それに呼応するようにそれぞれの立場で再生に向かって取り組んできました。

 しかし、一方で市の行政は、その合言葉の裏側には「できないことは後回しにしましょう」という意味のあることを私たち住民には示さず、自ら目を背けてきたのではないでしょうか。

 中心市街地の空洞化という最大の課題を克服するのは並大抵のことではありません。だからこそ私たち住民は「できることから始め」なければならず、そのことに一生懸命取り組んできましたし、これからも変わらずに取り組んでいくつもりです。

 しかし、市の行政が一緒になってその言葉に甘んじ、中心市街地における高齢化の進展や人口流出などによる街の空洞化問題を先送りしていては市全体が疲弊し、先細りになってしまうのではないでしょうか。

 そうならないためにも今後は国が提案する「高齢者等居住安定化推進事業」や「空き家再生等推進事業」、「地域自立型買い物弱者対策支援事業」などの活用を通して、中心市街地にお住いの高齢者の方々が安心して住み続けられるような街、そして「中心市街地が生活するのに便利になった」と再び郊外から移り住んでもらえるような街を目指して十分な対策を打っていく必要があるのではないでしょうか。

 このことを次の新たな基本計画(平成26年度~平成29年度)にも反映させていくことが必要ではないかと考えます。

0 件のコメント:

コメントを投稿

松阪と日本のために明るいコメントありがとうございます。!^^!